長周期地震動は、大きな地震が発生した際に、震源から離れた場所でも高層ビルや建物などが大きく揺れる現象です。この現象は、地震によって発生する短周期地震動とは異なり、揺れの周期が長く、低周波数の地震波によって引き起こされます。そのため、通常の地震に比べて、長い時間にわたって揺れが続く特徴があります。
気象庁によると、高層ビルは、14階、15階以上の建物を想定しており、上の階に行くほど揺れが大きくなります。また、長い場合には10分程度も揺れ続けることがあります。震度では表現できないため、気象庁は緊急地震速報の対象に加えることにしました。
新指標「長周期地震動階級」
長周期地震動の揺れは、通常の震度とは異なる4段階の階級で表されます。
- 階級1
- 感じない程度の揺れ
- 階級2
- 揺れを感じる程度の揺れ
- 階級3
- 立っているのが困難な揺れ
- 階級4
- 床を這わないと動くことができず、固定していないタ具の大半が移動したり、倒れたりするという揺れです。
東日本大震災では、東京都心で階級4の揺れが観測され、南海トラフ巨大地震では、広範囲で階級3から4の揺れが生じると想定され、大きな被害が懸念されています。そのため、長周期地震動に対する対策が求められています。
「地震直後に動く!」長周期地震動に対する備え方とは?
具体的な対策としては、高層ビルなどの建物においては、地震に強い構造物の採用や耐震改修が必要です。また、建物内においては、家具の転倒や、非常用電源の確保などが重要です。一方で、個人レベルでは、揺れによってバランスを崩さないように、机や壁に寄りかかって身を守ることが求められます。また、地震発生時には、避難する場所を事前に確認しておくことも大切です。
緊急地震速報による長周期地震動の情報は、地震発生後に瞬時に発信されます。これらの情報を正しく理解し、地震に備えることが、被害を最小限に抑えるために必要なことです。
また、長周期地震動の予測に対して、気象庁は2022年2月1日から、緊急地震速報の対象に長周期地震動の階級3以上を追加することを発表しました。これにより、今後は、長周期地震動による大きな揺れが予測される場合、緊急地震速報が発表されるようになります。
長周期地震動による揺れは、一般的な震度とは異なるため、緊急地震速報による情報を正しく受け取ることが重要です。震度が低い場合でも、長周期地震動による揺れが発生する可能性があるため、注意が必要です。これらの情報を正しく理解し、備えることが、地震による被害を最小限に抑えるために必要なことです。
まとめ
地震は、いつどこで発生するかわからない自然災害です。しかし、地震に対する正しい知識と適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。長周期地震動による揺れに対する対策を含め、地震に対する備えを十分に行い、安心して日常生活を送ることができるようにしましょう。
なお、長周期地震動は、日本だけでなく、世界中で発生する現象です。近年では、アメリカ西海岸でも発生することが報告されており、地震に備えることが、国境を越えた課題となっています。