「裁判員制度」とは、2009年から導入されたもので、選挙権を持つ一般市民が無作為に選ばれ、裁判官と一緒に審理に参加し、被告人の有罪・無罪の判決を下すことができます。また、有罪と判断された場合は、量刑についても判断します。
裁判員制度は、市民の意見を反映させるために導入され、司法への信頼を高めることが目的です。しかし、現在の制度では、裁判員の負担が過大であるという指摘があります。
裁判員制度は、2009年に始まり今年で15年目を迎えました。去年11月には、最高裁判所がまとめた調査報告によると、これまでに裁判員や候補者は360万人以上にもなり、11万人以上が実際に裁判員または補充裁判員として刑事裁判に参加しています。裁判員裁判は、法定刑が死刑、または無期懲役・禁錮に当たる重大犯罪に対して行われます。例えば、安倍元総理銃撃事件の山上被告の裁判も裁判員裁判となることが決まっています。裁判員は、事件によっては死刑判決に関わることもあります。
私の娘(19歳)が裁判員に選ばれたと考えると、他人事ではない・・・
2022年4月から、裁判員に選ばれる年齢が18歳以上に引き下げられたため、高校生も裁判員に選ばれる可能性があります。
裁判員裁判では、一般市民が参加することで、見て聞いて分かる裁判が目標とされています。
例えば、2012年に京都地裁で開かれた殺人事件の公判では、被害者が殺害の瞬間の音声を小型レコーダーで録音していたため、検察側の証拠として再生されました。その中で、被害者が脅されていたために録音していたもので、泣き叫ぶ声や悲鳴が録音されていました。女性5人、男性1人の裁判員は、イヤホンでその音声を聞いたそうです。
裁判員制度で遺体写真は必要悪?判断の難しさ
福島県で発生した強盗殺人事件の審理では、現場や遺体の写真を見た裁判員がストレス障害と診断され、慰謝料を求めて国を訴える事例がありました。このような事件から、裁判員制度には身体的、精神的な負担があるという指摘がされています。
2016年の福岡地裁小倉支部での裁判では、暴力団関係者が裁判員に対し「あんたら裁判員やろ、顔は覚えとるけんね」などと声をかけたとして、逮捕されたケースも。
裁判員の負担を考慮しながら、裁判員制度の適切な運用が求められています。
裁判員制度で明らかになった、誰にも言えないプレッシャー
2010年、宮城県の民家で2人を殺害し、1人に重傷を負わせたとして、犯行当時18歳だった被告人に対して、仙台地裁と仙台高裁の裁判員裁判が死刑判決を下しました。2016年、最高裁は上告を棄却し、死刑判決が確定しました。少年事件に対する裁判員裁判の死刑判決が確定するのは、これが初めてでした。
一審で元少年と向き合い、極刑と公正の可能性の狭間で揺れた1人の裁判員は、毎日新聞の取材に対し、「時間が足りなかったとは思わないし、後悔もないが、判決後何度も死刑の重みに押しつぶされそうになった。」「見ず、知らずの人に死ねと言ったことに変わりはない」と語りました。
裁判員に選ばれる年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられたため、18歳の若者達も裁判員として被告に死刑判決を下さなければならないという現実がここにあります。
裁判員制度のメリットとデメリットを検証してみる。
裁判員制度の長所
- 一般国民の目線を取り入れることで、裁判における透明性が増す
- 裁判員の参加により、市民が司法制度に関与する機会が増える
- 裁判員制度が導入されてから、1審での死刑判決が増えたことから、裁判員の参加がより厳格な判断を促すことがあると考えられる
裁判員制度の短所
- 裁判員がプロの裁判官に引きずられがちであることがある
- 裁判員裁判による死刑判決が2審で覆ることがあることから、裁判員裁判の決定力が不十分であるとの指摘がある
- 裁判員裁判の際には、一般国民の健全なる社会常識を裁判に生かすことが目的であるが、感情に訴えることが多く、法と証拠から外れることがある
裁判員制度の問題点
- 裁判員の中にプロの裁判官が入っている
- 裁判官が裁判員に影響を与えることがある
- 裁判員が裁判官に引きずられがちである
- 一審では裁判員裁判だから民意が入っているというが、二審で覆ることが少なくなっている
- 覆すことができない判決が出ることがある
- 民意が反映されているかどうか疑問視する
- 公平観が重視されていない
- 裁判官の常識のなさや知識の不足が問題になっている
- 感情に訴えて裁判が進められることがある
- 裁判員による裁判がプロの裁判官による裁判よりも質が低い
- 裁判員裁判のプロセスを録音・録画して公開するという方法論も
このままでいいのか?裁判員裁判
裁判員制度は、2009年に導入された制度であり、日本国内で刑事裁判における裁判官の補完的な役割を担うことができるようになりました。この制度の導入によって、裁判官が裁判に参加する市民を選定することができるようになり、より公正な判決が下されることが期待されました。
ところが、裁判員制度が導入されて以来、多くの議論が呼ばれるようになりました。参加者たちは、裁判員裁判においてプロの裁判官に引きずられがちであると指摘しています。裁判員が選ばれる理由や、裁判員の選考基準についても批判があります。加えて、裁判員制度が導入されてから、1審での死刑判決が増えた一方で、2審で覆される事例が増えたという話もありました。さらに、裁判員制度が民意を反映しているかどうかという問題も浮上しています。
裁判官は専門家でも、現場の温度感は知らない?一般市民との格差に潜む問題点
裁判員制度を改善するためには、プロの裁判官との関係性や、裁判員の選考基準、透明性の確保など、多くの問題に対処する必要があります。裁判員制度によって民意が反映されているかどうかという問題についても、より深い議論が必要でしょう。
裁判員制度が透明性を高めるために導入されたという意見もあります。裁判員制度によって、市民が裁判のプロセスに参加し、判決を下すことができるようになりました。裁判員制度は、透明性を高め、裁判官の責任を明確化することで、より公正な判決を下すことができるとされています。しかし、透明性を担保するために、市民にグロい死体の写真を見せたり、死に至るまでの過程を決定するという重責を担わせるのは適切なのかという疑問も浮上しています。
裁判員制度の透明性を高めるために、市民に過酷な任務を課すことが公正な判決を下すことにつながるのかどうかという問題もあります。裁判員制度が導入された目的は、より公正な判決を下すことであり、そのためには透明性が必要であることは確かです。しかし、透明性を担保するために、市民に過酷な任務を課すことが、本当に公正な判決を下すことにつながるのでしょうか。
裁判官も一般市民も?誰もが納得できる判断をするためには
裁判員制度には多くの問題がありますが、その問題に対処することで、より公正な判決を下すことができるようになるかもしれません。裁判員制度によって民意が反映されているかどうかという問題についても、より深い議論が必要で、そのためには市民が積極的に参加し、議論を深める必要があるでしょう。
裁判員制度を改善するためには、プロの裁判官との関係性や、裁判員の選考基準、透明性の確保など、多くの問題に対処する必要があります。また、裁判員制度によって民意が反映されているかどうかという問題についても、より深い議論が必要でしょう。裁判員制度が透明性を高めるために導入されたものであるため、透明性を担保しながら、市民に過酷な任務を課すことなく、より公正な判決を下すことができるように改善していくことが必要ですね。